ラジオ第03回の勝手に宣伝コーナーでメリーが紹介してくれました「エンバーミング」。 このレビューを書くために平成の脱線王と名高いワタクシきょうちも読ませていただきました。 宣伝とかそういった要素を一切無視して、純粋な読者としての感想を口にすると、こうなります。 「いやー、変人たちのオンパレードっすねー」 いや、漫画ですので、普通の人々が出てきた所でつまらないのは百も承知なんですが、 るろうに剣心→武装連金→エンバーミングとステップを踏んでいくと、 やはり出てくる登場人物(?)達の変人の割合が、どんどんと増している気がします。 さて、個人的感想はここまでにして、ストーリーの紹介をざっとさせていただきます。 ジャンル分けをすると、個人的にはバトル&コメディって所でしょうかね。 バトルが7〜8でコメディが3〜2って感じです。 舞台は19世紀末の欧州、物語の中心となるワードは「人造人間」 そう、ルビを振るなら「フランケンシュタイン」です。 あ、ちょいと脱線しますが、人造人間の代名詞としてよく使われるフランケンシュタインですが、 実際は人造人間自体の名称ではなく、人造人間を作った科学者の名前です。 そもそも、メアリー・シェリーのフランケンシュタインでは、人造人間を作ったヴィクター・フランケンシュタインは 作り上げたその怪物に恐怖し、名付けることすらせずに人造人間の元から去りますからね・・・。 ・・・すみません、なにぶん小学生の時に途中まで読んだ記憶を元に↑を書いてますんで、 ちゃんとした内容が気になる方は自分で読んでください。 確か人造人間は寂しくて、自分に似合う怪物の奥さんを作ってもらいに フランケンシュタインを追いかける・・・ってな感じのストーリーだったような覚えがあるんですが・・・。 さて、話を戻します。 コレより具体的説明をしていきますんで、まずはあらすじと登場人物の紹介をさせていただきます。 ・あらすじ
19世紀末、大英帝国。 これより150年前、神の所業をまね、死体をベースに創り出された異形なるモノ… 「人造人間(フランケンシュタイン)」。 それらは、雷と共に現れると言い伝えられる。創造方法が失われた今も、歴史の影で研究に開発に勤しむものが絶えない。 …そして、人造人間に進んで関わるのは、悪人か狂人のどちらかだけ――――。 ・キャラクター紹介(2巻まで)
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ヒューリー=フラットライナー 主人公 ワイス卿の使用人として働いていたが、 家族を殺害した人造人間に復讐を決意。 |
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レイス=アレン ヒューリーと同じ事件の生き残り。 当時、自ら死を選択したが、 ヒューリーから生かされ、彼だけを信頼している。 |
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Dr.ピーベリー 素性不明。 自称医者で、人造人間の研究のために ヒューリー達の住むハイランド地方にやって来た。 |
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エーデル=ワイス ヒューリーと同じ事件の生き残りで、 事故以前の記憶が無い。 亡きワイス卿の令嬢に似ていたため、 ワイス家の養女に。 |
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ロバート=ワイス 子爵の称号を持つ元大学教授。 事件により行く当てを失った ヒューリー達を受け入れ育てた。 |
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エルム=L=レネゲイド ドイツ生まれの夢見る人造人間。 アシュヒトを慕い、 共にロンドンへ向かう。 |
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アシュヒト=リヒター 名門リヒター家の子息。 エルム曰く陰険で根暗で、 血の色真っ黒でちょっと少女嗜好。 |
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ハーピー(?) ミミズクに人間の脳と声帯を移植した キメラ型の人造人間。 フクロウと間違われると怒る。 |
以上がネタバレを極力防いだあらすじと人物紹介です。 この「エンバーミング -THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN-」ですが、 この作品の前に同タイトルの読み切りが二本描かれております。 「エンバーミング -DEAD BODY and BRIDE-」と「エンバーミングII -DEAD BODY and LOVER-」の二本です。 一本目のBRIDEの方は、主人公達は連載版に登場しますが、 あるパラドックスが発生していますのでおそらく世界設定は共有していません。 (ちなみに一番上の絵の左の男がそれです。本誌では登場していますが、 コミックにはまだ登場していないので名前等は伏せておきますね) ですが、二本目のLOVERの方はエルムとアシュヒトを主人公にした読み切りなので、 おそらく世界設定は共有していると思われます。 二本とも、いつかコミックの中に掲載されることになるんではないでしょうか・・・あ、あくまでもおじさんの勝手な希望です。 さてさて、具体的説明的な物に移りましょうか。 まず舞台が19世紀末の欧州とされていますが、和月さんがよく調べて描かれているんだなぁと深く感心させられました。 舞台背景、武器、生活器具、衣服など、本来なら雰囲気で流してしまうような場所までこだわっていらっしゃるので、 読んでいて世界観に疑問が表れることはありません・・・たぶん。 いや、実際にこの時代を生きた人間からすれば「!?」なのかもしれませんけど、 そんなもんは現代を舞台にしていても起こりえ増すし・・・。ね? そして、その19世紀の初頭に書かれた小説、 上にも書いた「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」がノンフィクションだとした物語ってなわけなのです。 人造人間といえば、死体を基盤に一体の人間にあらざる人間、いわゆる怪物を造るというのが割と定番かと思われますが、 この作品では、そういった基本に忠実な人造人間も登場しますが、とてつもなく人間味を持った人造人間達が多々現れます。 そして、そういった人造人間達は、当然「人格」を持ち合わせているわけです。 簡略化すると、人が死ぬ→そいつの身体で人造人間を造る→そいつが生き返る→おまけに不老不死→ヤッターって感じです。 まぁ、元からフランケンシュタインも、神業を自分の手で行ってみたいってな理由で人造人間を造っちゃってる訳ですから、 もしもノンフィクションであったならばやっぱりこういう理由から人造人間製造技術ってのは進歩していくのでしょう。 そして、一見すると、死んだ人が生き返る・・・なんて素晴らしい技術なんだろうと皆さん思うかもしれません。 ですが、コレには一つだけ欠点があるのです。 メリーもラジオで言っていました。
「人造人間は死人蘇生の賜物でも、永遠の命の方でもない。 100%本人の死体を使って個体をつくろっても、精神は決して元通りには戻らない。 性格の豹変から記憶の崩壊。生前の人間性そのままに造られた人造人間はこれまで一体もなく、 中にはその両方を併発する「壊れた」としかいいようのない個体すら存在する――」
結局完全に元通りにはならず、やはり生前は生前、死後は死後なのです。 そして、このルールこそが、ただ単調にあの小説がノンフィクションであった世界にするのではなく、 物語を物語として成立させるべくねじ曲げていきます。 さて、だいぶ長々としたレビューとなってしまいましたが、 こんなところで今回のエンバーミングの宣伝レビューは締めさせていただこうかと思います。 前回に比べて今回異常に長いのは、 宣伝者であるメリーが「もっとしっかりと宣伝したかった」と悔やんでいやがったので、ちょっとした助力ってなやつです。 正直、和月さんの最新作です。って言うだけで十分な推薦になると思うんですがね・・・。 ジャンプスクエアにて連載しております、「エンバーミング -THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN-」 集英社さんより発売しておりますので、書店さんでお見かけした際には是非是非手に取ってみてください。 以上、ICONIQさんがチュートリアルの徳井さんに見えてしまうきょうちでした(´・ω・`)ノシ |
![]() 著者:和月伸宏さん ストーリー協力:黒崎薫さん 講談社より 2008年9月4日発売 |
![]() 著者:和月伸宏さん ストーリー協力:黒崎薫さん 集英社より 2009年7月4日発売 |
![]() 著者:和月伸宏さん ストーリー協力:黒崎薫さん 集英社より 2009年8月4日発売 |